「無理して笑ってんじゃねぇよ……バカ瑠璃」


瑠璃は最後まで笑っていた。

涙が溢れそうになるのを必死に堪えて、無理矢理にでも笑っていた。

あの下手くそな笑顔は、俺が負い目を感じないように作ったものだろう。

ずっと瑠璃を見てきたんだ。俺が気づかないはずないだろ?


それでも笑ったんだ。

瑠璃の笑顔に答えるためにも、俺はもう逃げられない。


「二宮芽衣子」


ぽつりと言葉が溢れた。

顔も思い出せない、俺のたぶん大切な人。


夢に出てくるあの子と二宮芽衣子が同一人物だとするなら、本当に無意識に追いかけていたことになる。


会いたかったはずなのに、事情を知って怖くなった。

彼女を泣かせてるのは俺だから。

原因が俺なら、涙を拭ってあげられない。