さよならリミットブルー


今日はアイスココアか。

昨日は手作りクッキーを持ってきて、その前はフルーツの詰め合わせだっけ。

そのうち、病室が瑠璃から貰った物で埋まってしまいそうだ。


「……今日の碧人、なんだか元気ないね?」

「えっ、そうか?いつも通りだけどな……」


瑠璃の言葉に反応して、心臓がドキンと大袈裟に音を立てた。

寝て、起きて、飯を食べて、たまに検査があって、瑠璃が来てくれて。

毎日同じようなことを繰り返しているのだから、元気も何も普通だ。


瑠璃が毎日会いに来てくれるんだから嬉しい。

……嬉しいはずなんだ。


そう思うのに、心の奥に変な違和感が引っ掛かっている気がする。

自分でもよくわからないけれど、瑠璃の影に別の誰かを探しているような。そんな気分になる。

誰かって誰だよ。

わからないから“誰か”なんだ。