このまま何もせず嘘をつき続けて、幸せになれるはずがない。


本当のことを話して碧人の記憶が戻るとは思えないけど、もう何もしないで後悔するのは嫌なんだ。


本当はこのまま碧人の彼女でいたいよ。

せっかく元に戻れたこの関係を自分から壊したくなんかないもの。


だけど、わたしも辛いから。わたしが辛いから。


碧人に教えてあげる。


全てを打ち明けて、それでもわたしを選んでくれるなら喜んで手を取るから。

碧人の時間を奪ったことへの償いと、わたし自身のこれからのために。

少しだけ頑張ってみようと思う。

碧人がどう生きたいか。それを決めるのはわたしたちじゃない。


「……ねぇ、碧人。わたしのこと、好き?」

「なっ、急になんだよ……!?」


驚いたときに見せる反応が好き。


「ふふっ、好きかどうか聞いただけだよ?」

「そりゃあ……好きだよ。俺の大事な彼女なんだから」


照れくさそう視線を逸らす仕草が好き。


「ありがとう。わたしも碧人が大好き」

「はっ、変なヤツ」


わたしを見て笑うキミの笑顔が。

何よりも、誰よりも、大好き。