「ふぅ……ごちそーさん」

「えっ!もう全部食べたの!?」

「あぁ、瑠璃がぼーっとしてる間に食べ終わった」


空っぽになった袋をゆらゆらと揺らして、「ありがとな」と笑った。

ぼーっとって……碧人のこと考えてただけなのに。

わたしがとれほど悩んでいるかなんて、碧人には一生わからないんだろうな。

怒ってるわけじゃないけど、共有できない思い出は少しだけ虚しい。


「あっ、そうだ。瑠璃がいつ来てもいいようにって母さんに買ってきて貰ってたものがあるんだった」

「わたしに?」

碧人からならなんでも嬉しいけど、なんだろう。

微妙な体勢で「えーっと」と冷蔵庫を漁る碧人を待った。


「ほら、瑠璃の好きなグレープフルーツジュース。いつも飲んでただろ? 」