ーーガラッ


「碧人、お見舞いに来たよ」

「瑠璃!」


病室のドアを開けると、ベッドの上に座る碧人がわたしに向かってひらひらと手を振っていた。


「今日も暑いねぇ」なんてたわいのない会話を広げながら、ベッドの横に置かれた椅子にゆっくりと身を預ける。


「今日はクッキー焼いてきたんだ。食べる?」


手作りクッキーの入った袋を碧人の前に差し出した。


「おっ、瑠璃の手作りクッキーか。もちろん食べる」

「碧人が寝てる間に結構上達したんだよ〜」

「へぇ、それは楽しみだな」


結んでいたリボンが解けて、ほのかな甘い香りが広がった。

そして、碧人の細い指先がクッキーを掴んで、口の中へ消えていく。


「ん、美味いよ」

「ほんと?よかったぁ……」