「………ここ、は……」


「碧人くん……!」


碧人くんの重たいまぶたが持ち上がったとき、焦点が合わない不安げな瞳がわたしの姿を映し出していた。


「「碧人!」」


病室に響く、碧人くんのお母さんとお父さんと北上さんの声。


「目が覚めたんですね、碧人くん」


その声に釣られるように、今度は先生の声がした。


「あれ……母さん、父さん………」


「っ……今、母さんって……」

「碧人、父さんがわかるのか……?」


「ははっ、何言ってんだよ。当たり前……」



ーーーよかった。


この一瞬で、全て理解できた。

碧人くんの記憶が戻ったんだと。