ーードンッ!

と激しく脳内に響く衝撃音。


「きゃぁああ!ひき逃げよ!」

「早く、救急車!!」


意識を手放す寸前に聞こえたのは知らない人たちの声ばかり。


瑠璃………。

瑠璃は、どこだ。


守れたのか?俺は。

世界で1番大切な彼女を。


動かない手足で必死にもがいても、薄れる視界に映るのは道路に広がる濁った赤色だけ。


あぁ。

最後くらい瑠璃の顔、見たかったな………。


「…………碧………っ……!」


ずっと側にいるって約束したのに、守れなくてごめん。


愛しい人の顔を見れぬまま、俺は呆気なく意識を手放した。