ーーーえ?


ちょうどタイミングよく碧人くんと言葉が重なった。


まさか同時に言うと思わなかったから驚いて碧人くんに視線を移すと、


「………っ、」


青白い顔でただ1点を見つめていた。


「碧人くん?」


なんだか様子がおかしい。

さっきまで汗ひとつなかった額や首筋にはいつのまにかじわりと汗が滲み出ていて、声だけでなく体も震えていた。



「こんな、急にっ………待って、待ってくれよ………」



突然頭を抱え、なにかに抗うように藻がきだす。


碧人、くん………?

いったい何が起こっているのかよく理解できなくて、わたしは苦しそうにガタガタと震えだす碧人くんを見ていることしかできなかった。

どうしちゃったの。


「くそっ………俺はまだ…………」


荒い呼吸がわたしの耳まで聞こえる。

助けなきゃ、落ち着かせなきゃ。


頭の中ではそうわかっていても、


「あっ………っ……」


思うように声がでなかった。


「お客様、大丈夫ですか……!?」


慌てて駆け寄って来た店員さんに声を掛ける余裕もなく、自分の気持ちを落ち着かせることだけで精一杯だった。