碧人くんに手を引かれるがまま風を切って、向かって走って。

ようやく到着した場所は、


「…………観覧車?」


ライトアップされた大きな観覧車の前だった。

夕焼け色に染まった空にキラキラと輝く無数の光。

真っ暗な空じゃなくてもこんなに綺麗に見えるんだ………。


「あの、すみません」


わたしが1人でぼんやりと眺めている隙に、観覧車の前に立っていた係員に碧人くんが声を掛けていた。


「乗りたいんですけどまだ時間は大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」


えっ、もしかして今から乗るの………?

大きな観覧車を目の前にしてただ眺めるだけではおかしいと思うけど、今から?

「わわっ……!」

何も言うなと言わんばかりにまたグイッと強引に腕を引かれる。

そんなに引っ張らなくても逃げたりしないよ。


係員の人に案内をされ、わたしたちは観覧車へと乗り込んだ。