わたしの言葉を遮るように流れてきたのは、閉園のアナウンスだった。

タッ、タイミング…………!

いつも肝心なときに限って、誰かしらから言葉を遮られてばかり。

こうも遮られてはまた最初から言い直すのも嫌になる。


空気が抜けた風船のように、強張った肩の力がゆるゆると落ちた。

アナウンスのバカ…………こんなタイミングよく被せてこなくたっていいじゃん。


もちろんアナウンスがわたしの言葉に被せてきたのではなく、わたしがアナウンスが流れる時間に被せて言ってしまったのだとは十分理解している。


重なり具合が完璧すぎて文句をつけずにいられない。

今日はとことんツイてないや。


「よしっ、じゃあ行くか」


しゅんと萎んでいるわたしの隣で、碧人くんが重そうに腰を上げて立ち上がった。

この空気で一緒に帰るのはなんだか気まずいような………。

いやいや、ここで「別々で帰ろう!」なんて言ったら後々さらに面倒になるよね。


「会いたい」って言葉にきっと深い意味はない。


碧人くんの平然とした態度を見ていたら、そんな気がした。