崩壊寸前の自分の記憶を、今だけ見て見ぬ振りをした。


全てを知ってしまう前に。

消えてしまうかもしれないその前に、芽衣子に自分の気持ちを伝えたいと思ったから。


俺は“今の俺のまま”芽衣子のことを抱きしめたい。


全てを拒んで暗闇の中にいた俺を連れ出してくれた一筋の光。


苦しいことも、悲しいことも、全部受け止める覚悟はできている。

だからあと少しだけ待ってほしい。


俺のために必死になってくれた芽衣子に、


「好き」


と伝えるその時まで。