たぶんこんなにも北上さんを恋愛対象と見れないのは、俺が別の女に夢中になっているせいだ。


後先考えず行動して、空回りばかりするおせっかいなアイツ。

……俺は本当にどうかしてる。


あんな変な女に、

芽衣子に惚れてるなんて。


「ーーー碧人、次はわたしたちの番だよ」

「あっ、あぁ……」


急に北上さんが声を掛けられたことに驚いて、ワンテンポ返事が遅れてしまった。

どうやらいつの間にかアトラクションの前に着いていたらしい。


ちょうど芽衣子のことを考えてるときに声を掛けられるとは思っていなかったから、正直焦った。


なんとなく北上さんには、俺が芽衣子を好きだと知られたくないから。

今はどうか知らないが、過去を忘れた俺と違って北上さんには俺を好きだったときの記憶がある。


その気持ちを踏みにじるようで嫌だった。