「それじゃあ、行こうか碧人っ!」


さりげなく碧人くんの腕を引いて、眩しいくらいの笑顔を見せる北上さん。

そんな北上さんを見て、ほんのり頬を赤らめた碧人くんをわたしは見逃さなかった。


なんだ、2人とも案外あっさりと打ち解けてるじゃん。心配して損しちゃった。

わたしの出る幕は少しもない。


「ははっ……」


おかしいな。

なんでわたし……寂しいんだろう。

胸の奥がズキズキして痛い。


「あっ、見失っちゃう……!」


入り口の先へ消えていく2人を見て、急いで茂みの中から飛び出した。


自分のことは後回し。今はただ、碧人くんと北上さんが上手くいきますようにって祈ればいいの。

作戦ノートをぎゅっと握り締め、見つからないように2人の後を追いかけた。