「ふぁーい」
情けない声色を吐きながら無理矢理体を起こし、乱れた髪の毛を整える。
お母さんが昼間っからわたしに何の用だろう。
この時間はいつもリビングでテレビを見るか雑誌を読むかのどっちかなのに。
ゆらゆらと焦点が合わない視線の先で、ガチャリとドアが開いた音に気がついた。
「寝てたの?」
「んー、ダラダラしてただけ」
「まったく……せっかくの夏休みなんだから、もっと有意義に過ごせばいいものの」
「別にいいじゃん〜」
やれやれ、お母さんはわざわざ説教でもをしに来たのかね。
目の前でそんなガッカリした顔されるとこっちもいい気がしない。
「なぁに?文句言いに来たの?」
「違うわ。これ、お父さんから芽衣子に渡してって」
「なにこれ」