帰り際で見た北上さんの顔、すごく寂しそうだったな。

せっかく碧人くんに会えたのに、あんな冷たい態度取られたんじゃ今頃泣いているかもしれない。


北上さんと碧人くんのためにも、恋人同士に戻してあげたいのに。

どうすればいいのかな。


真っ暗になったスマホの画面に反射して、酷く表情の曇った自分が映った。

わたしより2人の方がずっと辛いはずなのに、おかしいね。

「ふっ……」

自分の情けなさに耐えきれず、乾いた笑いが零れ落ちた。



そしてベッドの上でぐったり横になっていると、

「芽衣子、ちょっといい?」

ドア越しからお母さんの声が聞こえてきた。