いつの間にか、ベッドから天井を見上げるのが癖になっていた。


薄汚れた白い壁をぼんやりと見つめながら、時折目を閉じてみる。

真っ先に浮かんでくるのは碧人くんと北上さんの姿。

今頃2人はどうしているだろう。


「夏休みって案外暇かも」


ふと言葉を吐いても誰かから返事があるわけでもない。

聞こえてくるのは外を走る車の音やエアコンの音。

たったそれくらいで、ほとんど外部からの音を感じなかった。

わたしの部屋ってこんなに寂しかったっけ?


外が明るいからと部屋の電気は付けていなかったが、その行動がさらにわたしを孤独にしていた。


近くに置いてあったスマホを何気なく手に取ると、開きっぱなしだったフォルダーの中に碧人くんと2人で撮った写真がある。


「碧人くん……」


碧人くんとは島に行ったのを最後に、1度も連絡を取っていない。

結局あの後しばらくして碧人くんは戻って来たけれど、目には光がなく見ているだけで辛かった。


何か言いたげだった北上さんのことは完全に無視して「帰るぞ」とわたしにひと言言っただけ。

強引に腕を引かれたけれど、反発する言葉さえ出てこなかった。