溢れた涙を拭きながら、強引に笑っている。

こんな状況でも無理矢理笑顔が作れるなんて、北上さんはすっごく強いんだな。


わたしもその弱くて強い背中を押してあげたい。

碧人くんだってきっと北上さんのことを思い出したいはずだ。

今は近くにいないけど、1人でそう考えていると思う。

だから、わたしも………。


「碧人くんは今でも北上さんが好きだと思います!」

「えっ、どうして………?」


これもわたしの勝手な考えだけど、間違ってると思いたくない。


「2人のお揃いのピアスを今も大切に持っているんです。

意地張って付けてないけど 、

心のどこかで北上さんを想う気持ちが消えてない証拠です」


ピアス1つであんなに動揺していたのは、きっと事故に関わる悲しい思い出だから。

それでも無くさなかったのは、無意識でも大切な物だと気づいていたからだと思う。

彼女から貰った宝物を完全に忘れることはできなかったんだよ。