「そんなこと……急に言われたって………」
状況が飲み込めないに決まってる。
碧人くんを想って島に来たのに、本当にこれでよかったの?
「っ………ごめん……ちょっと外行ってくる………!」
「待っ………碧人く…………」
ーーバタンッ
引き止める言葉すら出てこなかった。
酷く傷ついた碧人くんを止める権利なんて、わたしにはなかったからだ。
勢いよく閉められた扉を見ているだけで、体は少しも動いていない。
あんなに思いつめた顔をする碧人くんを見るのは初めてだった。
「芽衣子ちゃんは碧人の彼女?」
「あっ、いえ……違います………」
「そっか……ごめんね、急に驚かせちゃって」
碧人くんが出て行ったというのに、北上さんは振り向こうともしない。
碧人くんのこと、心配じゃないのかな……。



