碧人くん、やっぱり優しいな。
ダメダメなわたしに気遣ってくれるし、記憶喪失になっていなければ今頃幸せな日々を送れていたことだろう。
わたしと出会うこともなくこの島で………。
そうならなくてよかったと思うのは、最低かな。
碧人くんが事故に遭ったから、こうして繋がることができた。
最低な考えだけど、結果的に矛盾がないから心が痛む。
「おい、また暗い顔してどうした?」
「ひぇっ……!?」
覗き込むように近づいた碧人くんを見て、思わず変な声が出そうになった。
バッと急いで口元を隠して「ごめん!」と叫んだが、首を傾げてまだわたしを見ている。
心の中を見透かされたのかと思った。
最低なわたしを碧人くんには知られたくない。
こんなこと考えているのがバレたら、きっと嫌われてしまうから。



