この空はいったいどこまで続いているんだろう。

上に登る階段を1段1段踏みしめても、見上げる空との距離は変わらない。

力一杯手を伸ばしたところで触れられるわけでもない。

この喪どかしい距離にいったい何を感じるかな。


隣に立つ碧人くんが空を見上げて儚げに笑っていた。

その笑顔の意味がわたしに理解できるはずもない。


「俺さ、空が好きなんだよ」


優しい顔でわたしを見据えて、ぽつりと呟いた碧人くんの瞳が眩しかった。


「へぇ……そうなんだ……」


その優しさはわたしに向けられたものではないんだと変に勘付いた。

目の前にいるはずのわたしはすり抜けて、過去の世界を見ているような。

そんな感じだと思う。


「昔の俺も空が好きだったのかもしれないな」