これが偶然か必然かはわからない。


けれど、占いの指すラッキーアイテムがこれのことだとするなら、彼が落とした物だと思っても構わないだろうか。


元々この場所に落ちていた可能性もあるけれど、自分が信じる方に賭けてみたい。

このピアスを持っていればまた会えるような気がするから。


わたしはもう一度彼に会いたかった。


ちゃんと改めてお礼が言いたいし、どんなくだらないことでもいいから話をしてみたい。


一緒にいた時間は恐らく5分にも満たなかったと思う。それでも、彼に興味を抱くには十分すぎるほどだった。


何の躊躇いもなく他人に優しくできる彼のことをもっと知りたいと思ったから。



「また、会えるといいな……」



風に揺れるピアスを見つめながら静かにそう微笑んだ。