「碧人くんの生まれた島に行こう!」


静かな屋上で、勢いに任せて言葉を吐いた。


「は?急になんだよ」


突然聞かされた妙な発言に首を傾げる碧人くんは、ジトッと嫌そうな顔をする。


「だって明日から夏休みだよ?しばらく何もできなかったし、行動するなら今しかないと思うの!」

「だからってなんで俺の地元なんだよ………」


「だから」って、そんなの決まっている。

碧人くんも心の中ではたぶん理解していることだろう。


「碧人くんの記憶を取り戻すためだよ」


体育祭のことで少し忘れがちになっていたが、無くした記憶を取り戻すことがわたしたちの関係の始まり。

碧人くんと決めた約束であり、目的なんだ。


「もしかして行くの……怖い……?」


1度逃げ出した碧人くんには少し残酷なことなのかもしれない。

自分勝手に話を進めすぎだって怒るかな……。