ぼけらっとしていると、佳奈ちゃんが言った。
「七海ってば篠宮の名前忘れてたの?すごいね。ほら、あんなに人気なのに」
そして佳奈ちゃんが指さした先には、女の子達に囲まれている篠宮君の姿があった。
「わあ…すごい人気だね」
「七海は篠宮に興味ないの?」
「うん。あまりよく知らないし…冷たそうで怖いし」
「そっか。七海らしいね」
ふわりと笑う佳奈ちゃんに吊られて笑った時、篠宮君がこっちを見た気がした。
「今こっち見なかった?」
佳奈ちゃんが私の疑問を口にした。
「そんな感じしたよね」
私も同意の言葉を口にする。
直後にチャイムが鳴り、私は慌てて席に戻った。
