そのあとは、とくになにもなく時間だけがすぎた。
お題はなんだったんだろう、とずっと考えていたからか、やけに時間がすぎるのが速かった。
閉会式も終わり、片づけに入っても答えは出ず、伊東も見つからず、吹部の片づけも終わったので、僕は研究室に戻った。
強く手をひいて、どんどん前に進んでいく後ろ姿だけが、やたらと脳裏に残っていて。
目を閉じたらすぐに思い出せるくらい、はっきり青いはちまきが風にゆれている。
手のひらに、まだ、伊東の小さな手の感触が残っている気がして、手をぎゅっと握る。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…