「テスト作ったり忙しくて、ごめん」

「話したいこといっぱいあったのに」


今日はやけにかわいいことばかり言う。ほんとに伊東はずるい。


「なんかあった?」


「浮気されてた」

そんなにあっさり暴露されると思ってなかった僕は面食らってしまった。


「大学いってやっぱり大人っぽい人のほうがよくなったんかなぁ。

なんか、一年たったし大丈夫って思ってた自分がバカみたい。」


僕はなんていえばいいのかわからなくて、黙っていた。


「やっぱり年下は子どもっぽすぎるんかなぁ」


そんなに悲しい顔をするなら、そんなにつらい思いをするなら、どうして別れないんだろう。

伊東よりずっと年上なのに、ろくな言葉も思い浮かばない僕は、思わず伊東の頭に手をのせた。


一回のせてしまうと、引っ込みがつかなくなって、

少し伸びてきた伊東の髪の毛をくしゃくしゃと何回もなでた。