「急にどうした?」 そんなことない、と言ってしまいそうな自分を抑える。 あまり感情的になってはいけない。僕らは“先生と生徒”以外のなにものでもないのだから。 「・・・やっぱり魅力ないんだー」 僕のあいまいな流し方が気に入らなかったらしい。伊東は口をとがらせて、またすぐに問題集に目を落とす。 「伊東は十分魅力的やと思うよ?」 あくまでも先生らしく。先生らしく。僕は自分の気持ちを出さないように一生懸命押し殺す。