ありがと

 「っはぁっはぁっはぁ…ギ、ギリギリっかな?」
 「あれ?律さん、ギリギリなんて珍しいですね。」
 「…ちょっとね」
 教室に滑り込んで入ってきた私に話し掛けてきたのは、雨宮 莉沙。同級生なのに敬語を使う、変な子。
 「テスト、今日は国語と数学、それから音楽ですね。律さんが得意なやつばかりです…。」
 「数学以外はね。莉沙は数学得意でしょう?うらやましい…」
 私の苦手な教科は数学と理科…あとは、英語。他はいいんだけど、こればっかりは全く駄目。特に、英語…。あれは、壊滅的にやばい。
 「私は律さんの逆ですから…数学と理科と英語以外はさっぱりです。」
 「…お互い、頑張ろうか…。なんか、悲しくなってきたよ、私。」
 「奇遇ですね、私もです。」
 お互い、悲しくなってきたところでチャイムが鳴り、テスト開始。