「センパイこっち」





…私は瀬上に素を出しすぎではないだろうか…








どんどん“冷静沈着鉄仮面の飛鷹 紗”の外見像が音を立てて崩れていっているような気がする








「……お客様お気をつけください。

この先大変混雑しています。」






「……混雑?」




こんな時間に?





もう閉園じゃ…










「……へぇ…思ったよりキレーじゃん」







「…………っ」












真っ暗な空の下




大勢の人で溢れかえる広場




係員が誘導する声








「………き…れ…」







声が掠れて言葉が出ない






人々の視線は全て一つに集まっていて



それをみる人々の口からも感嘆のため息が漏れていた







「…ラッキーだね

俺ら」





……ある意味ラッキーかもしれない






こんな綺麗な物がみれるなんて







『プロジェクションマッピングの撮影は今から5分後から可能となります


もうしばらく撮影はなしでお楽しみください』







「「「おぉぉぉぉーー」」」







2人を探すことなんて頭から吹き飛んで、その巨大なアートに見入っていた






冷たい風が頬を撫でるように通り過ぎる







2人が気になるのに




早く探し出したいのに…






「すっげぇ…」



「……」






もう少し、この生意気な男とでいいから




この時間を楽しみたいと思うの