『430円になりまーす』
チャリン…チャリン
『ありがとうございましたー』
一体私は何故こんなところにいるんだろう
「…ん」
「頼んでないし」
「どうせ欲しいとか言い出すんじゃねーの?」
「……言わないよ」
そう言いながらも、私の手は瀬上が差し出したアイスを受け取っていて
「またこれ…」
手のひらのアイスカップに書かれた“新発売”の文字を見て少し鼻で笑うように息を吐く
「食わねーなら押し込むから」
「やめて、絶対やめて」
「さぁ?」
片方の口角を上げた生意気な表情の瀬上を見て、また前と同じようなことになったら嫌だと思った私は素直にアイスを口に運んだ
「……ごめん、なんか巻き込むようになって」
「……別にセンパイが気にすることじゃなくね?」
「いや、そうかもしれないけど…
私、今日これからも普通に楽しめるかも自信ないし」
「普通じゃね?
好きな人が彼女と居るとこ目前にして過ごすんだから」
「……なんか優しくて気持ち悪い」
「惚れたとか?」
「それはないから安心して」
「ふっ…りょーかい」
ドキッ
瀬上の生意気な笑みにはいつもムカつくのに
今だけは違う…何か分からない感情になったのはあまり深く考えないことにしよう

