バカにしてんのか、とデコピンを食らわせば、違う、と強く否定された。
うん、分かったから。
ブンブン振るのは手か頭かどっちかで良いから。
「何と言うか、こう…叙情的?
でもいろんな景色が広がるから…旅情的?」
「演歌か!旅か!またすっとぼけてんな美音!
ローカル線か?サスペンスか?ミステリーか?温泉で殺人事件でも起きんのか!」
「想像力も豊かなんだねえ」
ヤッバいな、俺。
アホみたいな会話してるだけなのにこんな楽しいなんてさ。
どれだけ美音に毒されてんの。
どれだけ美音に踏み込まれてんの。
それでも。どれだけ。
癒されてんの?
笑う美音の一瞬ごとにフワフワの髪の毛が揺れる。
見つめられていたのは俺の方。
だけど、こんなにも。
見つめていたいと願うのも俺の方。
跨いでいた椅子から一旦 立ち上がると俺は美音をピアノに向けて改めて座らせる。
されるがまま、けれどその意図を読み取ろうと視線を俺から外さない美音の意識が心地好い。
今から自分が何されるか分かってる?
「…ぅ、えっ?!」
「よし。これで弾いて?美音」
椅子は大きいから、まだまだ余裕があるから。
なんて理由は正解じゃない。こじつけ、と言います。
座る美音の真後ろに俺も腰掛けて、小さな身体を両の腕で包み込んだ。
掌の位置に迷って(上すぎても下すぎても各方面に問題あんだろ)結局、腹の部分へ落ち着ける。
恐ろしく速い鼓動は、俺のなのか美音のなのか。
どちらでも構わない。
美音の一番近くに居るのは俺だと、しっかり実感できるからさ。
…にしても。
良くない?これ。この体勢。
昔の映画だかドラマだかで似たようなシーンを目にした覚えがある。
愛がダダ漏れてんだろ?
下半身に集まりそうな邪な熱は、美音の清廉な音で浄化されるはず。
たぶん。自信ないけど。
「愛の夢、だっけか?弾いて、あれ。
この近さで」
「…む、無理…」
「や、恥ずかしいのは分かんだけどさ」
見下ろす位置にある美音の細い首は、髪の毛の隙間からその紅く色づいた肌を覗かせる。
きっと、頬も。いや、顔中?
真っ赤になってんだろな。
大きな瞳は潤んでるかもしれない。
あれは見てしまうと確実に疼くな、ヤバいところが。
「腕も身体もあまり動かせないもの、これじゃ」
「あ、そこがご不満?!何気にやる気充分だな、お前!
てか愛が足りねえよ!乗り切れよ!」
美音は俺の手に手を重ね、そのままゆっくりと左右の腰の位置へ広げ置いた。
ふふ、と小刻みに肩が震えてる。
笑ってんなよ、お前。
美音はやっぱりピアノの前ではほんの少し違う美音へ変化する。
それもこれも、全部 好きだよ、うん。
綺羅綺羅しい旋律を奏で始めた天才ピアニストの華奢な腰に掴まりながら。
俺は特別な愛の世界に酔いしれた。
うん、分かったから。
ブンブン振るのは手か頭かどっちかで良いから。
「何と言うか、こう…叙情的?
でもいろんな景色が広がるから…旅情的?」
「演歌か!旅か!またすっとぼけてんな美音!
ローカル線か?サスペンスか?ミステリーか?温泉で殺人事件でも起きんのか!」
「想像力も豊かなんだねえ」
ヤッバいな、俺。
アホみたいな会話してるだけなのにこんな楽しいなんてさ。
どれだけ美音に毒されてんの。
どれだけ美音に踏み込まれてんの。
それでも。どれだけ。
癒されてんの?
笑う美音の一瞬ごとにフワフワの髪の毛が揺れる。
見つめられていたのは俺の方。
だけど、こんなにも。
見つめていたいと願うのも俺の方。
跨いでいた椅子から一旦 立ち上がると俺は美音をピアノに向けて改めて座らせる。
されるがまま、けれどその意図を読み取ろうと視線を俺から外さない美音の意識が心地好い。
今から自分が何されるか分かってる?
「…ぅ、えっ?!」
「よし。これで弾いて?美音」
椅子は大きいから、まだまだ余裕があるから。
なんて理由は正解じゃない。こじつけ、と言います。
座る美音の真後ろに俺も腰掛けて、小さな身体を両の腕で包み込んだ。
掌の位置に迷って(上すぎても下すぎても各方面に問題あんだろ)結局、腹の部分へ落ち着ける。
恐ろしく速い鼓動は、俺のなのか美音のなのか。
どちらでも構わない。
美音の一番近くに居るのは俺だと、しっかり実感できるからさ。
…にしても。
良くない?これ。この体勢。
昔の映画だかドラマだかで似たようなシーンを目にした覚えがある。
愛がダダ漏れてんだろ?
下半身に集まりそうな邪な熱は、美音の清廉な音で浄化されるはず。
たぶん。自信ないけど。
「愛の夢、だっけか?弾いて、あれ。
この近さで」
「…む、無理…」
「や、恥ずかしいのは分かんだけどさ」
見下ろす位置にある美音の細い首は、髪の毛の隙間からその紅く色づいた肌を覗かせる。
きっと、頬も。いや、顔中?
真っ赤になってんだろな。
大きな瞳は潤んでるかもしれない。
あれは見てしまうと確実に疼くな、ヤバいところが。
「腕も身体もあまり動かせないもの、これじゃ」
「あ、そこがご不満?!何気にやる気充分だな、お前!
てか愛が足りねえよ!乗り切れよ!」
美音は俺の手に手を重ね、そのままゆっくりと左右の腰の位置へ広げ置いた。
ふふ、と小刻みに肩が震えてる。
笑ってんなよ、お前。
美音はやっぱりピアノの前ではほんの少し違う美音へ変化する。
それもこれも、全部 好きだよ、うん。
綺羅綺羅しい旋律を奏で始めた天才ピアニストの華奢な腰に掴まりながら。
俺は特別な愛の世界に酔いしれた。
