「……ただいま」
憂鬱な気持ちのまま、私は自宅へと帰った。
もうお母さんは寝ているらしい。
返事はない。
何か言うのはもう諦めているのか、私がこんな時間に帰って来ようが、フリーターでいようが、何も言わなくなった。
最初は結構口うるさく言われていたけど。
「さぶ」
リビングに入ると、すぐにストーブとコタツを点ける。
それから牛乳を冷蔵庫から取り出して、マグカップに注ぐ。
レンジに入れると温めボタンを押して、コタツに潜った。
いい感じにあったまってきてる。
ひょこっと顔だけ出すと、テレビのリモコンを手で手繰り寄せ電源ボタンを押した。
深夜番組が明るく響く。
ああ、この芸人本当に最近よく見るよなあ。
きっとすぐ消えるんだろうな。
生き残るのが難しい世界。
そこに飛び込んで行きたい。
だけど、そこで生き残れる人なんてほんの一握り。
私が果たして、なれるのだろうか。



