フリーターになって、一年が過ぎた。
懲りずに私は駅前で歌っている。
オーディションだって受けた。
けど、落ちるばかりだ。
流石に現実の厳しさを理解し始めていた。
いい加減就職して、“趣味”として歌った方がきっといいんだって。
そんな矢先だった。
先程の彼に会ったのは。
今更、上手ですね。だなんて。
……嬉しくないわけじゃない。
きっと、彼も同じだから。
他の人と一緒だから。
歌がうまい人なんて、世の中ごまんといる。
私より可愛い子なんて、きっといる。
そしたら、そこに私の居場所なんてない。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…