「今日はタクシーで帰った方がいいよ。これ以上ここにいたら、本当に移してしまいそうだ」 「でも、帰って大丈夫?」 「うん。ありがとう、ひまり。 けど、僕は君の方が大事。君が風邪を引いたら僕は僕を許せない」 「……ちゃんと寝る?」 「寝るよ。ちゃんと薬飲んで寝る」 「曲作りしたら怒るからね」 「しない。……約束、します」 「ん。わかった」 「あ、ひまり。帰る前にさ」 「ん?」 ――――――――歌って。 ケーは優しい顔で、そう微笑んだ。