決して広くないワンルームの部屋の奥へ進むと、その音楽は次第に大きくなった。


「やっぱり起きてる」



そう溜め息と共に呟いたのは新條さん。
ケーはパソコンに向かって、何やら作業をしている。


画面を見ても私にはちんぷんかんぷんだ。



どうやら、ケーは私達に気付いてないみたいだ。
新條さんはケーの背後に立つと、ヘッドフォンをばっと上へと持ち上げた。



「あっ」


と、同時にケーが振り向く。
そして、ばちっと私と目が合った。



「え?あ、え?何で?え」


私を見て、完璧挙動不審の彼の額には冷えピタなるものが貼られている。



「何でじゃありません。あれほど寝ておいて下さいねって言っておいたのに、何で起きてるんですか!」


新條さんは声を抑えながら、ケーに説教していた。
ケーはあははと、苦笑い。