繋いでくれた歌【完結】

一時間。


人の流れる中、ちらちらと視線を送っては彼を探したがいない。



二時間。三時間。


人も疎らになった駅前。

だけど、彼の姿はそこにはなかった。



そして歌い終えてから、ハハッと乾いた笑みを零した。



騙されたんじゃん。
嘘を吐かれたんだ。


結局、私の声を求めてたなんてのは嘘で。


自分の歌を聞かせたかっただけなのか。


昨日、あれだけハッキリと言ってたくせに。


バカみたい。
何を信じちゃってるの。


少しでも彼が来るんじゃないか、なんてバカな事思ったんだろうか。


律儀に今日、ここに足を運んで終電間近まで歌い続けるなんて。
余りにも情けなくて、自分に腹が立つ。