繋いでくれた歌【完結】


ケーの音楽を聴きながら、眠りに就いた私。
翌朝、大音量のアラームで目覚めさせられ眉を思いっ切り顰める。


綺麗な彼の音楽から、一気に現実に戻された気がして不快だった。


アラームを止めると、私は腕を伸ばし大きく背伸びをする。
そして、今日もバイトだ。と気合いを入れた。



職場に向かう途中も、いつでも私はケーの音楽を聞いていた。
毎日来ると言っていたから、今日もしかしたら駅前で会えるかもしれない。


そう思うと、心なしか気持ちが弾んでいた。



時間になり、早々に職場を後にすると私はギター片手に駅前へと向かう。
定位置に到着して少しだけ辺りを見渡してみるが、ケーの姿はなかった。


……まだ来ていないのか。


そう、考えてハッとする。


何、期待してるんだ。
これじゃ彼を待ってるみたいだ。


私は断ろうと思ってるんだ。
だから、期待なんてしても意味がない。


それに、何に期待してるんだ。


彼に賛辞の言葉を送ってどうする?
断るのに?

それなら、ハッキリと拒絶した方が彼も諦めてくれる。


私はふっと笑いながら、ギターを手にすると歌い出した。