「やっぱり綺麗だし、イメージ通り」

「そうですか」

「あ、もうこんな時間だ。帰らなくちゃいけないんだ。
……また来てもいいかな?」

「……どうぞ」


私がそう返事をすると、ケーの顔がみるみる内に笑顔になっていく。
あまりにもわかりやすい。大丈夫か、この人。


「よかった!絶対来る。毎日来る。いなくても来るから!」

「……いや、毎日は私いませんから」

「いいんだ。僕が来たいから!」



ケーはキッパリ言うと、屈託のない笑みを見せる。
どうしてこんなにも彼は私を気に入ってくれてるんだろう。


「それと、行く前に名前」

「え?」

「君の名前教えて」

「……ひまり」

「ひまり。うん、名前も綺麗だ」

「……」

「それじゃあ、行くね」



バイバイとぶんぶんっと何度も手を振って、彼は去って行った。