「興味があったら聞いてみてくれないかな」
「……」
そう言って、手渡されたCD。
この人はいつもCDを持ち歩いてるのか?
私は訝しげな顔でそれを受け取る。
ジャケットは綺麗なイラスト。
タイトルは『欲す』。アーティストケー。
欲す?
ほっする?って事?
綺麗なイラストに微妙にマッチしていない気がするんだけど。
「どうしてこんなタイトルなんですか」
疑問に思った事をそう口にする。
そしてハッとした。
……どうでもいいじゃん。そんな事。
なのに、本人に聞いちゃうなんて。
少しだけ後悔しながら、私は彼の顔をちらっと見た。
眉を下げた彼は視線をアルバムに移す。
そうして、ぽつりと呟いた。
「欲してたんだよ」
「……」
だから、何を。
そう思うけど、言葉には出さない。



