「……私、歌いたいです」



涙を拭うこともせず、私は新條さんにそう言っていた。
それに新條さんは微かに微笑んだだけだった。



「でも、一年は休養させてください」

「一年?」

「はい。出来たらケーと一緒に作り上げたいので。
もしも、それまでに目覚めなかったらその時は私一人でも歌います」

「……わかった」

「わがまま言ってすみません。
それと、連れてきてくれてありがとうございます」



こんな素敵な贈り物だってわかってたら、私はもっと早く見ていただろう。


新條さんはケーの様子を見てたから、私に曲を作ってるのを知っていたんだ。
ケーから直接聞いていたのかもしれない。



「貴方の歌声を待ち望んでる人は、たくさんいます。
……ここにも」



そう言って、新條さんは目を細める。
私も涙を流したままニッコリと微笑んだ。