バックステージに降り立ってすぐに新條さんが立っていた。
すぐに、近くにいるはずのケーを探す。
だけど、そこに彼はいなかった。
私はパタパタと彼の元へ走り寄り、きょろきょろ周りを見渡しながらケーの事を尋ねた。
「新條さん、ケーは?」
「すぐに来てください」
「え?」
突然ガシっと腕を掴まれて、私は目を真ん丸にした。
新條さんの真剣な表情に変に胸が騒ぎ出す。
……怖いんですけど。
何?
ドクンドクンと嫌な自分の心音を聞きながら、私は新條さんに連れられるまま会場を後にした。
ライブの余韻なんてものはない。
スタッフと笑い合う暇すらなかった。
言葉なんてかけられなかった。
だって、皆凄く不安そうな顔で私を見ていたから。
ケーに何か…あったの?
タクシーに乗り込むと、新條さんが運転手に告げた行き先は病院だった。
……病院?



