ケーと離れてる間、私は毎日メールのやり取りをしていた。
他愛もない話ばかりだったし、ケーは音楽作ってると着信にも気付かないから数時間後に返信なんてのもザラだった。


それでも、毎日。
ケーからメッセージが来ると元気付けられた。


好きな人のパワーってのは本当に凄い。



「遂に最終日ですね」


楽屋でメイクをしてもらっていると、新條さんがそう話しかけてきた。
私は顔を動かさないようにしながら、目線だけを新條さんに向ける。


「そうですね」

「ケーがそろそろ駅に到着すると思うので、迎えに行ってきます」

「お願いします。新條さんってケーの保護者みたいですよね」

「……あんな手がかかる息子は嫌です」

「あはは」



あからさまに嫌そうな顔をする新條さん。
ケーの両親はケーが幼い内に亡くなってるそうだから、新條さんが保護者代わりっぽいけどね。


なんだかんだ、ケーには甘い新條さんがいる。


メイクが終わり携帯を確認すると、メールが届いていた。
もちろんその相手はケーだ。
結構前に送ってくれてたらしい。気付かなかった。