「貴方の歌は聞いてると元気付けられる。不思議ですね」

「……新條さん」

「真史が褒めてる」

「私だって褒めますよ、失礼な」



少しだけムッとする新條さん。
それに私とケーは顔を見合せると声を上げて笑った。



ホテルはもちろん私とケーは別の部屋。
ケーは私の部屋まで送ってくれて、扉の陰に隠れると一度ちゅっとキスをした。



「っ!?」


私は目を真ん丸にしながらケーを凝視する。


「明日から離れなくちゃならないから。寂しくない様に」

「……ケーはずるい」

「そう?」

「私ばかりがドキドキさせられてるよ」

「そんな事ないよ。僕がどれだけひまりと一緒にいてドキドキしてると思ってるの。
出来る事なら全ての人に言いたいよ。ひまりは僕の彼女なんだって」

「……」

「ライブが終わったら、新曲聞いて欲しいんだ」

「うん」

「たくさん出来てるんだよ。きっと、ひまりが驚くぐらい」

「そんなに?」

「うん」

「楽しみにしてるね」

「期待してて。それじゃあ、おやすみ。僕の愛しいひまり」

「うん、おやすみ。ケー」


再度、唇を重ねるとケーは優しく微笑んで扉を閉めた。



……どうして。