「お疲れ様でしたー」
「お疲れ様ー」
私は店長や、他のスタッフに挨拶すると店を出る。
外に出た瞬間、北風が私を突き刺す。
小さく体を縮こませながら、夜空を見上げた。
冬の方が星が見えるっていうけど、やっぱりこんなに明るいと星なんて見えないや。
まあ、都会には地上に星があるって言うしね。
見えなくてもおかしくはないけど。
ダウンのポケットに手を突っ込んだ私は駅前を目指す。
まだ雪の名残はあって、白い塊が道の随所にあった。
その道中、コンビニでホットココアを購入する。
白い息を吐き出しながら、プルタブを引いて缶を口につけるとズズっとすすった。
あったかい。
喉に流れる液体を感じながら、私は歩いた。
駅前に到着するといつもの場所に座り、ギターを取り出す。
仕事から帰宅した人の波が目の前を流れて行く。



