「今日はデビュー曲が春の新ドラマの主題歌に抜擢された歌手のひまりさんに歌ってもらいます。
ひまりさん、主題歌と最初に聞いた時のお気持ちはどうでしたか」

「そうですね、信じられませんでした。いいのかなって思いました。
でも、たくさんの方に私の歌を聞いてもらえるのはとっても嬉しいです」

「私も聞きましたが、とってもいい曲ですよね。
あのケーさんが作曲した曲という事でも話題になっていますが」

「そうですね。最初はケーの繊細な曲を歌えるのか不安でした。
彼の世界観を壊したくないので、丁寧に歌うように心がけてます」

「これから生で聞くのが楽しみですね。では、スタンバイお願いします」

「はい」


セットされたスタジオに足を踏み出すと、私はマイクを手に持つ。
ケーの綺麗な音楽が流れ始め、すうっと息を吸い込むと私はメロディーを紡いだ。


カメラの奥には新條さんの姿。
じっと私を見つめている。


新條さんは社長の提案で、私のマネージャーも受け持つことになった。
最初は本当に嫌そうな顔をされたけど。


ケーは相変わらず、楽曲制作にのめりこんでいる。
私とケーの交際も順調だった。


暇な時間はケーの家に行って、料理を振る舞ったし、新曲を聞かせてもらった。
それに、恋人としても愛を育んだ。