今日は10時から20時まで。
店舗に到着すると、私は裏口から事務所へと入る。
中には早出のおばちゃん香川さん。
オープンの準備をしているみたいだ。
店には厨房の中山君がいるのだろう。音がする。
香川さんは私を見ると、笑顔を見せた。
「おはよう!ひまちゃん」
「おはようございます、香川さん」
私がここに入るより先にパートとして働いていた香川さん。
笑うとくしゃりとする顔が結構好きだったりする。
「着替えて来ますね」
「もう準備は一通り終わったから、ゆっくりしてて大丈夫よ。
それよりも雪ねえ」
「ですね。止むかなあ」
「予報では積もるみたい」
「そうなんですか」
そっか。それじゃ今日は歌えないな。
天気ばかりは仕方ない。
更衣室に入って制服に着替え始めた私は溜め息をついた。
予報通りその日は雪が止む事はなくて、結局私が次に駅前で歌ったのはそれから一週間近く経っていた。



