「……今なら僕、運命って言葉信じるよ」
ケーは私の頬へと手を添える。
目を細めるとそのまま顔をゆっくりと近付けた。
きゅっと目を瞑る私。
唇に触れると思ったけど、何かが当たったのは額だった。
不思議に思い、そーっと目を開ける。
息がかかりそうなその距離で、ケーが微笑んでいた。
「初めてのキスは、僕の家がいい」
「っ」
カアッと頬が熱くなる。
無自覚って怖い。
後ろで音楽が流れてて本当によかった。
静かだったらもっと緊張していた。
「ねえ、ひまり」
「……何?」
「歌って。ひまりの声が聞きたい」
「うん」
私は赤くなってるであろう顔を逸らしながら、曲を選んだ。
ケーの視線がずっと突き刺さってるけど、気付かない振りをした。



