「まぁ これでシュシュの正体わかったな」

「うん ゴッドマザーから生まれた女の子…か」

すやすやと眠っている可愛らしい寝顔からは、妖精達をまもる女神の娘とは想像できなかった

「とにかく ゴッドマザーの様態が安定するようにしてやりてぇな」

(海斗 もうお世話モードに入ってる)

「そうじゃな… 人間に信じさせるのは難しいかもしれんが あんたらのような人がいるなら良かったじゃ!」

ぴょんぴょん跳ね回るこの無邪気な妖精に
微笑みかけた

「ちょっとでもゴッドマザーの力になるなら よかったよ」

ふと突然にジジはまじまじと眠る姫を見た
しかしなぁ~と何やら不思議そうな声を出した

「んだよ ジジイ まだなんかあんのか」

「いや ちっちゃくね?」

太、海「え!?」

2人は思わずジジに詰め寄る

「ほんとはもっと大きいってこと…?」

「本来はもっと大きいはずなんじゃがのー 」

(ゴッドマザーの力ってゆうのが関係してるのか…?)

「生まれながらにして親指姫かと思ってたけどよ 親指姫的な女だったのかこいつ」

「みたいだな~」

「まあ そのうち大きくなるわい」

太、海(適当だな…)

あ と思い出したように声を出して

「あのさ ジジ シュシュが生活するのが大変なんよな だから色々とシュシュのサイズに合わせた物が欲しいんだけど… ないかな?」

「ほー それならわしの知ってる魔女が作れるはずじゃ 頼んでみるわい」

やったー!と手をあげて喜ぶ
顔をギリギリまで近づけて

「あぁ? 高額で売りつけるつもりじゃねぇだろうな」

「そ そんなことないじゃ!りょ 良心的に…」

(商人ってのも 大変だなぁ)

そう言ってゴソゴソとマントの内ポケット
から携帯を取り出した
しかもかなり最新のものである
可愛らしくキノコのカバーが付いていた

「おっ お前!妖精のくせに携帯持ってんのか!!?」

「当たり前じゃよ ちゃんとお金も払ってるじゃ!」

(妖精ってハイテクなんだな~)

連絡先を交換することになり
出来上がるまで待ってほしいとの事だった

「まさかlineやってるなんてね~」

「人間で登録するの 初めてじゃなぁ」

太、海(結構やってるやついるのか!)

そして海斗も連絡先を交換して
lineのグループも作った
名前は ジジと愉快な仲間達 である

「もうすでに退会したくなる名前だな」

「か 海斗… 落ち着いて」

次の商売があるからとジジはどこかへ行くらしい
2人は玄関まで見送りに行く

「ごちそうさまでしたじゃ また連絡するからの あの姫にもよろしくじゃ」

「おう ちゃんと良心的な値段になるようにな…」

瞳のおくに何か恐ろしいものを感じて
ブルブル震える

「また来てよ まってるからさ」

「おっけーじゃ!」

そう言うと玄関の扉を開けた
するとたちまち、背中に大きな木の翼を生やし、マントのフードがするりと脱げる

つぶらな黒い瞳に綿毛のようなヒゲで
口は見えない
やはり皮膚は木で出来ており、髪の毛のようなものはなく、つるりと光っていた


「ばいばいき… じゃなくてさらば!」

そう言うと夜空へと飛び去って言った

「あ あいつ 結構ちゃんとした妖精だったな おい」
 
「あんな顔だったんだ かわいかった」

「てか 最後 あの有名なセリフいいかけたぞ」

「妖精もヒーロー物とか見るのかな」

その影が小さくなるまで
口をあんぐりと開け、目を点にしている2人であった



その時、夜空の中でジジは電話をかけている

「あ もしもしバムバム? ごめんじゃー忙しいかの? ちょっと頼みがあるんじゃけど~」

忙しそうに翼を羽ばたかせながら
そう大声をあげていた