「海斗!どうしたの!」

教室で、明らかに弱り果てた
さらにどす黒いくまの海斗がぐったりと机で寝ていた

「よぉ 太陽 くそねみだわ」

「徹夜で作ってたの?あのワンピース」

「どうせ着るなら…ちゃんとしたほうがいいだろアホ あとはやっぱ…違うのも欲しいだろうが」

「もしかして!違うのも作ってたの!?」

「あぁん? わりぃかよオタンコナス…」

(ほんと気が利き過ぎていつか倒れそうだ…)

海斗は手をひらひらとかかげて

「んなわけで寝る おやす ……ぐぅ…」

(はや!!死んだように眠りについたー!)

朝の一限が終わって
空きの時間、二人はラウンジのいつものソファーで座っていた

「大丈夫なのか?海斗」

「あぁ まぁ一限寝たから復活の俺」

そう言ってストローでコーヒーを飲んだ

「ったく こだわり過ぎるからな俺」

「真面目だよなぁほんと」

「るっせぇ 俺は普通だ」

(絶対ちがうよ 真面目の鏡だお前は)

海斗が背伸びをして

「んで?シュシュどうしてる」

「元気だよ テレビ見てるんじゃないかな」

「妖精なのに現代的なものが好きなのかあいつは…」

「ははは そうみたいだな」

携帯をいじりながら

「んでお前 ジジイさがさねぇとな」

「そうだなぁ 前に会った道はわかるんだけど」

「そうそう会えるもんじゃねぇのかもな すげぇレアなやつなのかもしれん」

「うーん ひょこっと現れてくれたらなぁ」

首をふってないない と言う

「それはないだろーよ またその辺で店してるのとっ捕まえねぇとな んで吐かせる色々とな」

(おじいちゃん 捕獲対象になってる)



授業が終わって
海斗と共に坂を下る
秋晴れでとても気持ちがよい風がふきぬけた

「シュシュも家にいてもつまんないだろうし 外にでも出してやろうか」

「ばっ…!!馬鹿かおまえ!!んなことしたら政府が動くぞ!」

慌てる親友にけらけら笑った

「ははは まぁそうだけどさ」

「諦めとけそれは アイツには気の毒かもしれんが身のためだ」

「うん そうだよなぁやっぱ」

「まぁ虫かごに入れるわけにもいかんし 鞄のなかで窒息したらどうするよ?
あとは熱中症とか色々あんだろが」

(すごく心配してくれている)

確かに危険はつきもので
シュシュにとっては様々なことが自由ではない

「なんとかしてあげたいな」

「珍しいじゃねぇか 太陽君 お前がそんな風に何かしたいなんて」

「そうかな?」

「無気力男だしなお前 まぁやっと会えた妖精なわけだしな」

「俺ってそうなの ははは 
……んー なんてゆうかさ」

少し間が空いて
不思議に思い声をかける

「んだよ なんかあんのかマヌケ」

「妖精だからってゆうより シュシュに何かしてあげたい…だろうか」

「ほー なるほどな まぁあいつオーバーリアクションで素直そうだし、世間の事とかなんも知らんだろうしな」

「うん もっと色々教えてあげたい」

(へぇ 珍しいじゃねぇか )

にやりと笑いがこぼれる親友に不思議そうに声をかける

「なになに?どしたの」

「なんでもねぇよ ほれ急ぐぞ あいつ待ちくたびれてるかもしれねぇ」

「あ おう! いこうぜ~」

足早に坂をかけてゆく
姫の元に向かうために