「さて 話を整理しよう太陽君」

「ほいほい 海斗君」

温かなお茶を出して、二人は会議を始めた
シュシュは太陽が切ってくれたバナナを美味しそうに頬張る

「膝よりも小さいジジイから買った得体の知れない急速に育った花の中から この親指姫が出てきたってことかよ」

今でも美しく咲いている白い植木鉢の花を指さしながら、眉間のシワを深く作って言った

「親指姫ー?」

「お前 知らんのか? 種を育てて花の中から出てきた姫だよ」

太陽はバナナに夢中なその姫を見た

「シュシュって 親指姫なのかな?」

「ほら蛙とか黄金虫とかモグラとか
なんか知らんが人外な奴らに求愛されて
最終的にイケメン妖精とくっ付くだろ」

ほーと感心した声を出す

「海斗 詳しいなお前」

「ったく お前プリンセス的な話読まんのか」

(逆に海斗は読むんだ…)

お茶を音をたててすすり、息を大きく吐いた

「んで?コイツどうすんだぼけ 暮らすのかよ…」

「もちろんだ 行くとこも無いだろうしさ ここが安全だろう」

腕を組んで、そりゃそうだなと海斗が言った

「とにかく その種を買ったジジイとっつかまえて、コイツが何なのか聞かねぇとな」

「んー?なんで?」

「アホか こいつにも帰るとことか家族とかいたらどうするよ 後は聖なる泉がないと生きていけないとか RPGお約束な条件とかあったらどうすんだ」

手を叩いて、納得したと頷いた
確かにそんなことがあると一大事なため
あの老人を探そうと思った

「それに妖精の生活グッズがいるんだ あのおじいちゃん商人だし なんか売ってるかも」

「あ?なんだ食器とかか」

「そうなんだよな 色々デカくてさ小さく出来ないかな~」

深い溜め息をついて
天井を見上げた

「太陽君よ これ現実だよな 夢じゃねーよな」

「現実も現実ですよ」

「ったく まさか空想が現実になるとは そしてそれに巻き込まれる俺…」

そして海斗はシュシュに話しかける

「おいこら そこのシュシュ」

「ぐふ!! ごほごほ ちょっと驚かせないでください!」

頬にバナナの小さな粒を付けたまま
負けじと大声で返した

「お前 身体見せて見ろ」

「いっ いやらしい!!!」

「馬鹿たれが!! そんなことするか!服作ってやる」

え?と太陽とシュシュが声を揃えた

「海斗って、裁縫いけるんだったね ほんとに作ってくれるの?」

「あたりめぇだ このままよりも女なんだし服とかあったほうがいいだろうが」

シュシュはぺこりとお辞儀をした
そして瞳を輝かせている

「う!嬉しいです!!海斗さん!ありがとう!」

「よかったなシュシュ~」

「はい!」

じろりと太陽を見つめて

「まぁ太陽の裁縫は悲惨だからな 熊作るのに エイリアン出来たしな」

「俺全然だめだから はっはっは」

ある程度 身体の大きさを見て
海斗は頷いた

「まぁ 帰ったら作るわ」

「やったな~!」「わ~いです!」

やれやれと首をふるう
そして真顔で質問を始めた

「お前 下着とかどうすんだこら?」

「いっいっ いやらしい!!!」

「ごく普通だぼけ!! 着替えとかいんのか!?」

なぜかシュシュと共にやらしい~とこちらを避けているので、この親友ぶっ飛ばしていいかとも思い始めた

「下着はありますので大丈夫なのです」

太、海「え?」

「私が出てきたお花の中に、替えのやつが何着か」

太、海「え!?最初から付いてるスタイル!」

慌てて説明書を見てみると、育てようの所に

'下着はないと可哀想じゃん?'とあった

「なっなんじゃこれは!!?妙に現代だなおい!?」

「まぁ いまさら突っ込んだらきりないし はっはっは」

とにかく下着の危機は去ったので
海斗はふぅと胸をなで下ろした

「なので 心配無用ですよ えっへん」

「じゃあー トイレとかは?」

太陽が訪ねると慌てて顔を隠した
恥ずかしがっているようだ

(俺のときとはえらい違いじゃねーか)

「私 それはそのないですよ…ないと思います」

説明書の育てようをめくると

'しないタイプとするタイプがいます'

と書いてあったので、二人はほーと感心するように言った

「じゃあお前しないタイプなのかよ?」

「やらしい!!」

「なんで俺のときはやらしいんじゃぼけが!!」

まぁまぁと妖精と一人を落ち着けて

「妖精はそれぞれみたいだし シュシュはそういうタイプなんでしょ?」

「ええ えっと 感覚でわかります」

少し妖精の生活スタイルがわかって来たような気がしてまた嬉しくなった