幻ー消えない追憶ー

「あははははははっ!!うわー!ギャップ最高ー!」


莉乃がお腹を抱えて大笑いしている。
「そこ笑うとこじゃないよー。」
「ごめんごめん!だってさー、あの日向が不良って!!マジウケるわー!」
「ウケないでよー!私はショックだったんだから!」
「ショックってなんでよー!!はぁ、笑い過ぎてお腹が痛いー!」
本当に辛そうにして顔を歪めている。

途端に周りの目が瞬間こちらに集まる。



「あのねぇ、あの優しい日向だよ?あの日向が不良みたいになってたらショックじゃん!!」

「あー、優しいっていうか天然ね!て・ん・ね・ん!!男なんだから高校生にでもなったらそりゃ不良にくらいなるでしょー。」
急に人生経験を沢山積んだ叔母さんのような台詞を吐く。
「分かってないなあ。莉乃は。」
「何がさー!」


────キーンコーンカーンコーン────

「あっ、チャイム鳴った!また後でね!」
先程までが嘘のように自席に去って行った。




はあ…。莉乃って台風みたい。


莉乃とは中学校からの付き合いで、最初は堅くて近寄り難い綺麗め美人さんっていうイメージだったけれど、
私から声掛けてみたら案外趣味の話で気が合って、徐々に打ち解けていった。



今となっては親にも言えない秘密もすらすらと言えてしまう、そんな仲だ。